Windows 11へのアップグレード可否を確認しようとPC正常性チェックアプリを起動したら、「このPCでの更新プログラムは組織が管理しています」と表示されて困っていませんか?
「個人で買ったPCなのに、なぜ組織?」と、意味が分からず手が止まってしまう方は少なくありません。
このメッセージは、過去に使用された企業向け設定がPCに残っていることが原因です。中古PCや払い下げPC、過去にMicrosoft 365の職場アカウントを設定したPCで発生しやすく、設定が残っているだけでチェック機能がブロックされます。
本記事では、表示される3つの原因と、簡単な方法から順に試せる解除手順を解説。レジストリ編集が不安な方向けに、代替ツール「WhyNotWin11」での確認方法も紹介しています。
この記事を読めば、今日中にお使いのPCがWindows 11に対応しているか確認できます。まずは「職場または学校アカウントの切断」を試してください——これだけで解決するケースが多いです。
PC正常性チェックアプリとは
**PC正常性チェックアプリ(PC Health Check)**は、Microsoftが提供する無料のシステム診断ツールです。主に、現在使用しているPCがWindows 11のシステム要件を満たしているかどうかを確認するために使用します。
🔹 主な機能:
- Windows 11へのアップグレード可否の判定
- バッテリー容量の確認
- ストレージ使用状況の表示
- 起動時間の確認
- バックアップと同期の状態確認
PC正常性チェックアプリは、Microsoft公式ページからダウンロードできます。
Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了しています。サポート終了後はセキュリティ更新プログラムが提供されないため、Windows 11へのアップグレードまたは新しいPCへの移行が推奨されています。
PC正常性チェックで「組織が管理しています」が表示される原因
「このPCでの更新プログラムは組織が管理しています」というメッセージが表示される原因は、PCに企業向けの更新管理設定が残っていることです。この設定が有効だと、PC正常性チェックアプリはWindows 11へのアップグレード可否を判定できません。
グループポリシー・WSUSの設定が残っている
**WSUS(Windows Server Update Services)**は、企業がWindows Updateを一元管理するための仕組みです。企業では、社員が勝手にOSをアップグレードしないよう、更新プログラムをIT部門がコントロールしていることが多いです。
この設定がPCに残っていると、Microsoftの公開サーバーではなく、企業の管理サーバーに更新を問い合わせる状態になります。その結果、PC正常性チェックアプリは「組織が管理している」と判断し、チェック機能を制限します。
職場または学校アカウントに接続されている
Windowsには「職場または学校にアクセスする」という機能があり、Microsoft 365やAzure ADなどの組織アカウントと連携できます。この接続が残っていると、PCが組織の管理下にあると認識され、同様のメッセージが表示されます。
過去に会社のメールを設定したり、業務用アプリをインストールした際に、意図せず接続されていることがあります。
レジストリに過去の設定が残っている
グループポリシーやWSUSの設定は、レジストリに書き込まれます。OSのクリーンアップツールを使用したり、中古PCを購入した場合、設定自体は無効化されていても、レジストリにキーが残っていることがあります。
PC正常性チェックアプリはこれらのレジストリキーを参照するため、キーが存在するだけでメッセージが表示される場合があります。
よくある発生パターン(事例別)
このメッセージが表示される代表的なケースは以下のとおりです。
🔹 発生しやすい状況:
- 中古PCを購入した(前の所有者が企業だった)
- 会社から払い下げられたPCを使用している
- 過去にMicrosoft 365の職場アカウントを設定した
- 会社のVPNに接続したことがある
- PCクリーンアップツールやレジストリ最適化ソフトを使用した
- 自分でグループポリシーを編集したことがある
解除する前に確認すること
レジストリやグループポリシーの編集は、誤った操作をするとWindowsが正常に動作しなくなる可能性があります。作業前に以下の点を確認してください。
会社のPCか個人のPCかを確認する
会社から支給されたPCを使用している場合、勝手に設定を変更するとセキュリティポリシー違反になる可能性があります。会社のPCでこのメッセージが表示された場合は、IT部門や管理者に相談してください。
個人で購入したPCや、払い下げ・中古で入手したPCであれば、以降の手順で解除できます。
レジストリ編集前のバックアップ方法
レジストリを編集する場合は、必ず事前にバックアップを取ってください。
🔹 復元ポイントの作成手順:
- スタートメニューで「復元ポイントの作成」と検索
- 「システムのプロパティ」が開いたら「作成」をクリック
- 任意の名前を入力して「作成」をクリック
🔹 レジストリのエクスポート手順:
Win + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開くregeditと入力してEnter- 編集するキーを右クリック→「エクスポート」を選択
- 任意の場所に保存
Windows HomeとProの違い(グループポリシーの有無)
グループポリシーエディター(gpedit.msc)は、Windows Pro・Enterprise・Educationエディションでのみ使用できます。Windows Homeエディションには標準搭載されていないため、グループポリシーでの設定変更はできません。
| エディション | グループポリシー | レジストリ編集 |
|---|---|---|
| Windows Home | ❌ 使用不可 | ⭕ 使用可能 |
| Windows Pro | ⭕ 使用可能 | ⭕ 使用可能 |
| Windows Enterprise | ⭕ 使用可能 | ⭕ 使用可能 |
Windows Homeの場合は、レジストリ編集または「職場または学校アカウントの切断」で対応してください。
PC正常性チェック「組織が管理しています」を解除する方法
ここからは、具体的な解除手順を解説します。最も簡単な方法から順に紹介するので、上から試してください。
職場または学校アカウントを切断する
最も手軽な方法です。レジストリ編集が不要なため、まずはこの方法を試してください。
🔹 切断手順:
Win + Iキーで「設定」を開く- 「アカウント」→「職場または学校にアクセスする」を選択
- 接続されているアカウントがあれば選択し「切断」をクリック
- 確認画面で「はい」を選択
- PCを再起動
- PC正常性チェックアプリを再実行
接続されているアカウントがない場合は、次の方法を試してください。
レジストリを編集してWSUS設定を解除する
レジストリに残っている企業向け設定を削除する方法です。
🔹 削除すべきレジストリキー:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdateHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AUHKEY_CURRENT_USER\Software\Policies\Microsoft\Windows\CurrentVersion\PushNotifications
🔹 編集手順:
Win + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開くregeditと入力してEnter- 管理者権限の確認画面で「はい」をクリック
- 上記パスに移動し、該当するキーを右クリック→「削除」
- PCを再起動
- PC正常性チェックアプリを再実行
⚠️ 注意: キーが存在しない場合は、その項目はスキップしてください。存在するキーのみ削除すれば問題ありません。
グループポリシーを確認・変更する(Windows Pro向け)
Windows Pro以上のエディションを使用している場合は、グループポリシーエディターで設定を確認できます。
🔹 確認すべき設定項目:
- コンピュータの構成→管理用テンプレート→Windowsコンポーネント→Windows Update→Windows Update for Business→「プレビュービルドや機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」
- コンピュータの構成→管理用テンプレート→Windowsコンポーネント→Windows Update→「自動更新を構成する」
- コンピュータの構成→管理用テンプレート→コントロールパネル→個人用設定→「ロック画面を表示しない」
🔹 変更手順:
Win + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開くgpedit.mscと入力してEnter- 上記の各項目に移動
- 設定が「有効」または「無効」になっている場合は「未構成」に変更
- 「適用」→「OK」をクリック
- PCを再起動
コマンドラインで一括解除する方法
コマンドプロンプトやPowerShellを使って、レジストリキーを一括削除することもできます。
🔹 コマンドプロンプトでの削除:
reg delete "HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate" /f
reg delete "HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AU" /f
🔹 実行手順:
- スタートメニューで「cmd」と検索
- 「コマンドプロンプト」を右クリック→「管理者として実行」
- 上記のコマンドを1行ずつ入力してEnter
- PCを再起動
⚠️ 注意: 「指定されたレジストリ キーまたは値が見つかりませんでした」と表示された場合は、そのキーは存在しないため問題ありません。
解除しても表示が消えない場合の対処法
上記の方法を試しても解決しない場合は、以下の対処法を試してください。
PC正常性チェックアプリを再インストールする
PC正常性チェックアプリにはキャッシュが残る仕組みがあり、レジストリを削除しても以前の情報が表示され続けることがあります。
🔹 再インストール手順:
- 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開く
- 「Windows PC 正常性チェック」を探してアンインストール
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\PCHealthCheckフォルダを削除(存在する場合)- PCを再起動
- Microsoft公式ページから再ダウンロードしてインストール
管理者権限で実行する
PC正常性チェックアプリを管理者権限で実行することで、問題が解決する場合があります。
🔹 実行手順:
- スタートメニューで「PC 正常性チェック」と検索
- 右クリック→「管理者として実行」を選択
Windowsを初期状態に戻す
他の方法で解決しない場合、Windowsの初期化が最終手段となります。
🔹 初期化手順:
- 「設定」→「システム」→「回復」を開く
- 「このPCをリセット」の「PCをリセットする」をクリック
- 「個人用ファイルを保持する」または「すべて削除する」を選択
⚠️ 注意: 初期化を行うとアプリや設定がリセットされます。重要なデータは必ずバックアップしてから実行してください。
解除せずにWindows 11対応を確認する方法
「レジストリ編集は怖い」「会社のPCだから設定を変更できない」という場合は、代替ツールを使ってWindows 11の対応状況を確認できます。
WhyNotWin11を使う
WhyNotWin11は、有志が開発した無料のWindows 11互換性チェックツールです。PC正常性チェックアプリよりも詳細な情報を表示してくれるため、何が原因でアップグレードできないのかを特定しやすくなっています。
🔹 WhyNotWin11の特徴:
- インストール不要(実行ファイルをダブルクリックするだけ)
- 日本語表示に対応
- 11項目の詳細な互換性チェック
- 各項目がOK/NGで色分け表示される
🔹 チェック項目:
- CPU/OSのアーキテクチャ(64bit対応)
- ブート方式(UEFI)
- CPUの互換性(世代)
- CPUコア数・クロック周波数
- DirectX・WDDM対応
- ディスクパーティション(GPT)
- ディスク容量・メモリ容量
- セキュアブート・TPM 2.0
ダウンロードはGitHubの公式ページから行えます。
手動でシステム要件を確認する
ツールを使わず、手動でWindows 11のシステム要件を確認することもできます。
🔹 CPU世代の確認方法:
Win + Xキー→「システム」を選択- 「プロセッサ」の項目でCPU名を確認
- Intel Core i5-8250Uのように、ハイフン直後の数字が「8」以上なら第8世代以降
🔹 TPM 2.0の確認方法:
Win + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開くtpm.mscと入力してEnter- 「状態」が「TPM は使用する準備ができています」、「仕様バージョン」が「2.0」であればOK
| 要件 | 最低条件 |
|---|---|
| CPU | 1GHz以上、2コア以上、64bit対応、第8世代以降(Intel)/ Zen+以降(AMD) |
| メモリ | 4GB以上 |
| ストレージ | 64GB以上 |
| ファームウェア | UEFI、セキュアブート対応 |
| TPM | バージョン2.0 |
| ディスク形式 | GPT |
解除後の影響と注意点
設定を解除した後の動作について説明します。
Windows Updateへの影響
レジストリからWSUS設定を削除すると、Windows Updateの参照先がMicrosoftの公開サーバーに戻ります。これにより、以下の変化があります。
🔹 変化する点:
- Windows Updateが通常どおり自動で実行される
- 最新のセキュリティ更新プログラムが直接配信される
- 機能更新プログラム(大型アップデート)が通知される
個人で使用するPCであれば、この状態が本来の正常な動作です。
元に戻したい場合の方法
設定を元に戻したい場合は、以下の方法があります。
🔹 復元方法:
- 作成した復元ポイントから復元する
- エクスポートしたレジストリファイルをダブルクリックしてインポートする
- グループポリシーで変更した項目を「有効」または「無効」に再設定する
企業環境で再び使用する場合は、IT部門に相談して適切な設定を行ってください。
よくある質問
- 個人のPCなのになぜ「組織が管理」と表示されるのか?
-
過去に企業向けソフトをインストールしたり、Microsoft 365の職場アカウントを設定したり、中古PCに前所有者の設定が残っていたりすることが原因です。PCが実際に組織に管理されているわけではありません。
- レジストリを編集しても大丈夫か?
-
正しい手順で行えば問題ありません。ただし、誤った操作はWindowsの動作に影響するため、必ず事前にバックアップを取り、削除対象のキーを確認してから作業してください。
- 解除したらWindows Updateに影響はあるか?
-
Windows Updateの参照先がMicrosoft公開サーバーに戻り、通常どおり更新プログラムが配信されるようになります。個人利用であれば、むしろ正常な状態に戻ったといえます。
- 中古PCで表示される場合、初期化すれば解決するか?
-
はい、Windowsを初期状態に戻せば、企業向けの設定もすべて削除されます。ただし、アプリや設定もリセットされるため、まずは本記事で紹介した方法を試すことをおすすめします。
- 会社のPCで表示された場合はどうすればよいか?
-
会社のIT部門や管理者に相談してください。勝手に設定を変更すると、セキュリティポリシー違反になる可能性があります。Windows 11へのアップグレード可否も、IT部門で判断されます。
まとめ
PC正常性チェックで「このPCでの更新プログラムは組織が管理しています」と表示される主な原因は、グループポリシー・WSUS設定、職場アカウントの接続、レジストリの残存設定の3つです。
解除方法は、「職場または学校アカウントの切断」が最も簡単で、これで解決しない場合は「レジストリの編集」や「グループポリシーの変更」を試してください。レジストリ編集が不安な場合は、WhyNotWin11などの代替ツールでWindows 11の対応状況を確認することもできます。
会社のPCの場合は設定変更を行わず、IT部門に相談してください。
【参考情報】

